佐祐理は一弥という弟以外の男性に頼られたことはありません。でも、祐一さんはそんな佐祐理に「俺が一弥の代わりになれないか」と言ってくれました。きっと佐祐理に甘えたかったのでしょう(佐祐理さんは祐一の言葉をちょっとだけ誤解しています)。だから佐祐理が祐一さんのママになって、うーんと甘えてもらおうと思います(誤解の度合いが増しています)。この物語はそんな佐祐理の育児日誌です(作者の意図まで誤解しています)。


SAYURIN☆LESSON(第2話)

Script by shion SAKATSUKI

祐一 「あれ?」
開かれたドアの向こうには、祐一が予想した人影は見えなかった。

多分来るだろうと思われた佐祐理は開けられたドアの向こうにはいなかった。うちのクラスの斎藤を呼びにきた男子生徒の姿しか見えなかった。
祐一 「なんだ、そうだよな………」
祐一は思わずため息をついた。
佐祐理のママ宣言はかなり突拍子もなかったが、それでいつもの日常が変わるわけではない、いくら佐祐理でも、用もないのに、授業終了後の下級生の教室に踏み込むとは思えない。
次々にクラスメイトが教室から出て行く。帰宅部や寄り道部も含めればみんなこれから部活動だ。その光景を見て、佐祐理さんが未だ現れないのを確かめて祐一が安堵した時だった。

くしゃり………さわさわ………なでなで………
不意に祐一の頭にそっと手が置かれた
女の子「あははーっ、『そうだよな』なんですかーっ」
後ろを振り返った祐一が見たものは………勿論佐祐理だった。
祐一 「佐祐理さん………いつの間に」
佐祐理「後ろのドアから入ったんですよ〜」

そう………祐一は前のドアしか見ていなかったのだ。

佐祐理「ところで………」
佐祐理は祐一の髪を撫でるのをやめると祐一の前に回り、ちょっとだけ繭を吊り上げた。 そして、ちょんと人差し指で祐一の額をつつくと
佐祐理「駄目ですよ、『佐祐理さん』なんて呼んだりしたら」

名雪 「そうだよ、やっぱり先輩なんだから」
すくそばの席にいる名雪が口を挟む。
香里 「そーゆー意味じゃないと思うわ………なんとなくだけど」

やはり香里は冷静だ。
香里 「なんか『呼び捨てにしてくれないと返事しませんよー』とか言い出しそうね」

しかし、次の佐祐理の台詞は香里にも予想できなかった。

佐祐理「『ママ』でしょ?『佐祐理ママ』でもいいですけど」

香里 「はい?」
名雪 「え?」
一体目の前で何が起こっているのかあんまり理解してない二人。

佐祐理は構わず、
佐祐理「ちゃんと『ママ』って呼べるまで練習して貰いますからね、祐ちゃん」

祐ちゃん………。
この瞬間祐一の頭の中は真っ白になった。


香里 「なんか複雑な理由がありそうね」

佐祐理「あははーっ、そんな複雑な理由なんてありませんよーっ。ええと………」
香里 「あっ、美坂香里です。香里でいいですよ………それで………」
香里の目がきらりんと光ったような気がした。
香里 「詳しい話、訊いてもいいですか」

祐一 「あの、これはだな………」
と説明しようとする祐一を押しとどめるように香里は、
香里 「相沢君には訊いてないの………あなたのママに訊いているのよ」
とぴしゃりと言い放った。
香里 「だから、相沢君も席を外してくれないかしら」
と、香里は続けた。

ぐあ………香里ぃ、なんてことゆーんだよ。
これじゃ、名雪が佐祐理さんの言うこと全部間に受けちゃうじゃないか。

そう思った祐一を尻目に名雪までも、
名雪 「そうだね。これは本人がいると話がこじれるし………」 と、祐一がこの場から去ることを提案しはじめた。
もしかして………これは………。

この2人はもしかして俺を逃がしてくれようとしてるのか………。

祐一 「そうだな………それじゃ………また明日な、みんな」
と言い放ち鞄を抱えると、その威勢とは裏腹に、逃げるように教室から出て行った。
香里の側を通り過ぎる時、
香里(貸し1ね)
祐一(今度百花屋でな)
というアイコンタクトがあったのを佐祐理と名雪は気づかなかった。

佐祐理「ふぇーっ、佐祐理、祐ちゃんと離れたくないです」
という声が後ろで聞こえたような気がした。
ううっ、佐祐理さん………、どうしてこうなっちゃったんだよっ。


香里 「さて、当事者もいなくなったことだし」
香里は教室の戸を閉めながら、誰に言うともなしに呟いた。
とはいえ、実際にはその台詞は、教室に残っている2人、名雪と佐祐理に向けられた以外の何者でもない。なぜなら、教室からは香里を含めた3人以外の人はいなかったのだから。

佐祐理「えっと、なんで佐祐理が祐ちゃんのママになろうとしたかですよね?」
名雪 「えっと………まぁ,それでいいと思います」
名雪は祐一以上に状況に付いていけてない様子だ、が、それが普通の感覚というものだろう。いや、「話題を3メートル横にずらしてしまう」という特技の持ち主の名雪にしては正常な反応といえるだろう。
香里 「はい、一つ年下のお子さんを持つに至った動機が聞きたいんです」
それに対して香里は冷静だ。というか、やけに状況に順応していた。
勿論表面上での話だが。

香里は、親友の名雪も妹の栞も祐一を好いていることは知っていて、なおかつ祐一は舞という上級生や目の前にいる佐祐理とも親交を深めていることも分かっていた。だから、いつ誰と付き合いはじめてもおかしくないし、修羅場の一つや二つもあるだろうと思っていた。
(これで、この人が恋人宣言でもしようものなら修羅場モードなんだけどね)
しかし、目の前の女性が行ったのは恋人宣言ではない。

とまぁ現在場を仕切っている香里の思考を打ち切るかのように佐祐理は語り始めた。


はぁ、マジで書いてるよ > 自分
(続く)

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